他の弁護士は・・・

ご相談を聞いている中で「実は他の弁護士にも相談したのですが・・・」とすごく申し訳なさそうにおっしゃる方がいます。

私は,これ全然イヤではありません(嫌がる弁護士もいると思いますのでご注意下さい。)。

私だって,重大な病気を抱えたら複数の病院で診察してもらうかもしれませんからね。それと同じだと思っています。

私の場合は「その先生はどうおっしゃてました?」と聞いてみたくなります。

多くの場合,全く意見が正反対なんてことにはなりません。
「確かにそうだよね。その先生がそう言うのもわかる。でもこうすれば…」と思うことは時々ありますので,そのとおり正直に申し上げます。

(時間が許すのであれば)いろんな弁護士の意見を聞いて,方針や誰に依頼するかをお決めになればいいのではないかと思います。

自己破産で日常生活は変わるのか

破産手続に対する不安としてよくご質問を受けるのが
「自己破産をすると仕事はクビになりますか」
「住んでいるアパートから引っ越さなければいけませんか」
というご質問です。

答えは,いずれも「そんなことありません」です。

自己破産をしても,基本的には会社にはバレません。
会社からお金を借りたりしていない限り,裁判所などから通知が行くことはありませんし,官報を毎日チェックするような特殊な職場でなければ,従業員が破産したことに気が付きません。
仮にバレたとしても,クビにはできません。

住んでいるアパートもそのままです。
家賃を多額滞納していない限り,大家さんは,入居者が破産したことに気が付きません。仮にバレたとしても,出て行かなければいけないなんてことにはなりません。

自己破産をしても,毎日の生活が大きく変わることは基本的にはありません。

それまでと大きく変わるのは,借金の返済をストップすることと(借金の督促もストップします),きちんと収支を管理する(家計簿をつける)ことぐらいでしょう。

破産手続(自己破産)のスケジュール

先日,小規模個人再生手続のスケジュールについて少し書きました。
→小規模個人再生のスケジュール

今日は破産手続(自己破産)のスケジュールについて書きたいと思います。

破産手続にはバリエーションが多く(審尋が行われるか否か,破産管財人が就くか否か,配当があるか否かなど),
それに応じてスケジュールも全然違ってきます。
下記はあくまで,とてもスムーズに終わったある破産事件(金沢地裁)のスケジュールということになります。

概ねこんな感じでした(同時廃止事件)。

[スタート]
受任通知(弁護士が各債権者に通知を発送)
↓ 2~3か月後
破産申立て(裁判所に書類提出)
↓ 2週間~1か月
裁判所が破産手続の開始を決定・手続の廃止を決定
↓ 約2か月後
免責決定(全ての手続が終了)
[ゴール]

スタートから半年ぐらいで全ての手続が終了していますね。

半年というのを早いと感じますか?それとも遅いと感じますか?

ちなみに,この半年間は常にいろいろな作業・手続を行っているというわけではなく,いわゆる「待ち」の時間が多いです。
書類の準備など,ご本人に協力を頂くのは,受任通知から破産申立てまでの約2~3か月間がほとんどです。

管財事件でスムーズに終わった事件は,こんな感じでした。

[スタート]
受任通知(弁護士が各債権者に通知を発送)
↓ 3か月後
破産申立て(裁判所に書類提出)
↓ 2週間
開始決定・同時廃止決定
↓ 約3~4か月後
免責決定(全ての手続が終了)
[ゴール]

半年よりちょっと長めですが,同時廃止の場合とあまり変わりませんね。

 

スムーズにいってもこれくらい時間がかかります。
もっと時間がかかる事件も普通にあります。

手続に時間はかかりますが,少しずつでも前には進んでいきます。そして必ず終わります。

長い人生です。何年も何年も借金返済に追われることを考えれば,この半年はわずかな時間だとは思いませんか。

債務整理(借金問題),自己破産,再生手続についてご相談をご希望の方は,ぜひ一度,棒田法律事務所にお問い合わせください(相談料は無料です。)。

信用情報(ブラックリスト)

債務整理・破産・再生などを検討されている方で,「ブラックリストに載ってしまう…」と心配されている方がいます。

弁護士的には,そこまで恐れる必要はないのでは…と思いますが,確かに「ブラックリスト」って言葉の響きがすでに怖いですよね。
「一生消えない傷」を負ってしまうのでは…と不安に思う気持ちもよくわかります。

多くの方から質問を受けるので,ブラックリスト,つまり「信用情報」についてメモしておきます。

経済産業大臣が指定する「信用情報登録機関」には,CICとJICCと全銀協(KSCと呼ぶらしいです)があります。

3つそれぞれが別の機関ですが,実際にはこの3団体は,相互に情報を提供し合っています(CRINという制度だそうです)。

金融機関やカード会社における審査の際に,この信用情報登録機関に照会をかけて,滞納はないか?とチェックされるわけです。

まず,任意整理の場合であっても,破産や再生手続であっても,信用情報には登録されます。いわゆるブラックリストに載ってしまうということです。

ですので,債務整理手続きを開始した後は,新しいローンを組んだりすることが難しくなります。

では,登録された情報(ブラックリスト)はいつ消えるのか?

「5年」と言われたり「10年」と言われたりするようですが,各信用情報登録機関がホームページで公表しているオフィシャルな情報で確認してみました。

→ 情報の種類や契約時期によってもかなり細かく決められています。
詳細をお知りになりたい方は,各団体のホームページを直接ご確認下さい。

ざっくり言えば,多くの情報は5年で消えます。

例えば「ローンを滞納した」などの情報は5年で消えます。
ただし,返済し終わってから5年です。

破産の場合には,免責の決定が確定したことをローン会社に伝えると「完済」と登録され,完済から5年で消えるということのようです。

では,破産手続が終わってから5年経てば全ての情報が消えるのかというと,そうではないようです。

全銀協だけは「官報情報」を10年保管するとしています。
(CICは,平成21年4月1日から官報情報の収集・保有を中止しているとのことです。)

官報とは,政府が発行している新聞のようなもので,破産や再生に関する決定が掲載されています。
(ただし,日刊新聞のようにコンビニで買えたりはしません。大きな書店でなければ売っていませんし,一般の方が目にすることはほとんどないと思います。)

破産や再生の手続を行う場合,この官報に必ず載ります。

全銀協は,官報に掲載された情報を10年保管しているということは,「誰がいつ破産(再生)した」という情報を10年保管しているということになります。

結局のところ「破産や再生をした場合は10年経たないと信用情報は消えないのか…」ということでしょうかね。

 

最後に,借金問題で悩んでいるけれど,「ブラックリストに載りたくないから債務整理をしない」という選択は考えられるでしょうか。

任意整理をすれば,例えば5年で完済し,完済後5年で情報が消える(つまり消えるまで10年)。破産でも10年。

では,債務整理することなくそのまま返済する場合,直ちに全額を返済できれば,完済から5年で消えますので,これが一番早いですね。

しかし完済まで5年かかった場合は,結局は消えるまで10年かかってしまうことになります。
ただし,そのまま返済する場合は,高額のリボ払い手数料や利息も支払わなければなりません。
この状態のまま5年で返済できる方であれば,任意整理をすればもっと早く返済できるはずです。

結論としては,「ブラックリストに載りたくないから債務整理をしない」という選択は「ナシ」だと思います。

一刻も早く債務整理をして,生活を立て直し,貯金をした方がいいと私は思います。

小規模個人再生のスケジュール(返済時期)

小規模個人再生は,返済しなければいけない債務を少なくしたうえで3年間で分割返済するという手続です。

裁判所に小規模個人再生の申立てを行った場合,実際に分割返済を始めるのは「いつ」になるでしょうか。
「いつから返済を始めることになりますか」というご質問はよくあります。

東京地裁などでは「標準スケジュール」が定められています。
それによれば,再生計画の認可・不認可決定までが25週間だそうです。約6か月くらいですね。

金沢地裁では,東京地裁の「標準スケジュール」のようなものは公表されていないと思います。
実際には,どれくらいの期間なのでしょうか。

私が最近やった小規模個人再生事件では,申立てから認可決定まで約5か月でした。東京地裁の標準スケジュールよりも少しだけ早く進んだわけです。
ただし,これは特に補正もなく,スムーズに進行した事件です。
事案によってはもう少し時間がかかる場合もあるだろうと思います。

その後,再生計画に基づく第1回目の支払い(3か月分)が,認可決定の4か月後くらいでした。

なので,裁判所に申立てを行ってから,約9か月後に最初の返済時期が来たことになります。ご依頼を受けてから裁判所に申立てを行うまで2か月ほどかかりましたので,ご依頼を受けてから約11か月です。

つまり1年弱です。

この1年弱の間は,弁護士が介入して,それまで行ってきた借金の返済をストップしているので,その分だけお金を貯めることができます。

「貯めることができる」というより,貯めなければなりません。

返済をストップしている1年弱の間に,きちんとお金を貯められる方(安定した収入・倹約・家計簿の記録など)でなければ,個人再生による債務整理はできないだろうと思います。

借金問題で悩んでいる方の中には「破産だけは避けたいから」という理由で再生手続を希望される方もいますが,「本当に破産を避けることができるか」を慎重に検討すべきです。

再生が困難となって結局は破産せざるを得くなることがあります。

逆に「借金の返済さえストップできればきちんとお金を貯められる」という方であれば,1年弱が経った頃にはある程度のお金が溜まっており,余裕を持って返済していけます。

 

債務整理をしたいけど,どっちの手続きがいいのかな…という方は,是非お近くの弁護士にご相談されて下さい。
依頼するかどうかはともかく,方針が決まれば,いろいろな準備を進めることもできますし,少しは不安が解消されると思いますよ。