過失割合(過失相殺)について

交通事故が発生した場合には、損害額の問題に加えて、過失割合(過失相殺)が争われることが多くあります。
過失が「8対2」だとか「9対1」などと言われます。

過失割合は、ざっくり言えば「どちらがどれだけ悪かったか」ということです。

相手方保険会社が「過失割合は7対3ですので、30%割の過失相殺を・・・」と言ってくる場合、
「あなたにも30%の落ち度があった。」と言われているのです。
これに応じれば、損害額が100万円であっても、過失相殺(カシツソウサイ)によって30万円が差し引かれて、70万円しか支払いを受けることができません。

この過失割合は、どうやって決まるのでしょうか。
相手方が主張する過失割合に納得できない場合はどうすればよいのでしょうか。

弁護士が、過失割合(過失相殺)について、相手方と交渉する場合や、裁判で争う場合には、必ず参照するであろう資料があります。

『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(別冊判例タイムズ)や、
『損害賠償額算定基準(通称:赤い本)』(日弁連交通事故相談センター)です。

これらの資料では、交通事故の裁判例等が分析され、事故態様(事故発生場所や信号の有無など)ごとに過失割合が整理されています。
こういう事故であれば過失割合は8対2、こうだったら9対1になるだろうといったことが細かく分類されています。

弁護士が、交通事故について依頼を受けた場合には、こういった資料に基づきながら、相手方保険会社と過失割合について交渉することになります。
相手方保険会社も当然これらの資料を検討しています。

一般の方の場合には、相手方保険会社から「あなたにも前方不注意があったので過失割合7対3です。30%の過失相殺を・・・」と言われると、「そうなのか」と思ってしまうかもしれません。
「その過失割合が妥当なのか」と検討してみる必要があるかもしれません。

当事務所では過失割合(過失相殺)や交通事故に関するご相談を受け付けております。
加入している保険に弁護士費用特約がついている場合には、弁護士費用をご負担になることなく、依頼・相談ができます。
相手方保険会社とのやり取りに不安や疑問を持たれた方は、お気軽にご相談下さい。

過失割合(過失相殺)や交通事故に関するご相談は、石川県金沢市の弁護士、棒田法律事務所にご相談下さい。

生命保険金は特別受益でしょうか

被相続人(故人)が契約していた生命保険につき、相続人のうちの一人が保険金の受取人に指定されている場合があります。

例えば、
父が亡くなり、子2人(長男・次男)が相続人となりました。
父の遺産は現金5000万円でしたが、長男は、父が掛けていた生命保険の受取人に指定されており、保険金として400万円の支払いを受けました。

この場合、遺産の5000万円は、2分の1ずつ(2500万円ずつ)分与すべきでしょうか。

次男としては、長男はすでに400万円の支払いを受けているのだから、「長男:2300万円、次男:2700万円」とするのが公平だと思うかもしれません。

このような次男の主張が、「特別受益」「持戻し」と呼ばれるものです。
長男に支払われた保険金400万円を遺産に加えて、5400万円を2分の1ずつ分与すべきという考えです。

しかしながら、判例・実務は、このように考えません。

生命保険金は、受取人(この場合は長男)の固有の権利であって、原則として特別受益に該当しないと考えているのです。

したがって、遺産の5000万円は2500万円ずつ分けることになります。

「原則として」と書きましたのは、例外があるからです。

保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率など、諸般の事情を総合考慮した結果、持戻しがなされる場合があります。

例えば、東京高裁の平成17年10月27日決定は、遺産総額が約1億円、保険金の総額も約1億円という事案について、持戻しの対象になると判断しています。

相続問題、遺産分割についてのご相談は、石川県金沢市の弁護士、棒田法律事務所にご相談下さい。

自己破産してもお金は残る

自己破産すると全ての財産が没収されると思っておられる方がいますが、そうではありません。
確かに、破産手続は、破産者の財産をお金に換えて(換価して)、債権者に配当するという手続きです。
しかし、生活に必要なお金や物品が取り上げられることはありません。
破産手続は、破産者に再生してもらうための手続きでもあります。破産を申し立てた結果、生活できなくなっては元も子もありません。

まず、99万円以下の現金は、そのまま残ります。
預貯金自動車などについても、総額99万円以下であれば原則として残ります。
住まいから追い出されるということや、テレビやベッドが差押えられるということも、基本的にありません。

99万円以上の部分は基本的には換価することになりますが、破産申立てにあたって、弁護士費用や、裁判所に納める予納金、申立書を裁判所に提出するまでの間の生活費など、
必要な費用を捻出した後、それでも残ったお金が99万円以上であれば換価することになります。
通常、借金で苦しんでおられる方に、それほどのお金が残るというのは珍しいと思います。

また、99万円以上であっても、例外的に換価しない場合もあり得ますので、自己破産をしたいけれども99万円以上の現金が残っているという場合も、まずは当事務所にご相談下さい。

債務整理、借金、自己破産についてのご相談は、石川県金沢市の弁護士、棒田法律事務所にご相談下さい。

専業主婦の休業損害

交通事故にあった際の損害賠償の一つとして「休業損害」というのがあります。

典型的には、治療している間は働くことができずに収入を得られなかった(または収入が下がった)という場合に、事故がなければもらえるはずだった収入分を、相手方に賠償してもらうということになります。

休業損害が請求できるのは、会社で働いている人だけではありません。

専業主婦・主夫でも休業損害を請求することができます。
交通事故で怪我をしたことによって家事ができなかったという場合に、休業損害を請求することができるのです。

休業損害の金額をどのように算定するのか、ということですが、
賃金センサス」と呼ばれる統計を用いて算定します。

専業主婦であれば、女性労働者の平均賃金額を基準として、主婦業を休業していた期間について損害額を算定することができます。

実際に、私が代理人弁護士としてご依頼を頂いた事件(弁護士特約を利用してのご依頼でした。)においても、事故の相手方である保険会社と交渉において、専業主婦の休業損害を請求し、損害賠償の支払いが得られた事例があります。

交通事故、休業損害に関するご相談は、石川県金沢市の弁護士、棒田法律事務所にぜひご相談下さい。

遺言書の保管制度

相続法改正により、自筆で書いた遺言書を法務局で保管してもらうことができるという制度が、2020年(令和2年)7月10日からスタートします。

私はこれまで「遺言書を作成したい」というご相談については、できれば公正証書遺言で作成されることをお勧めしてきました。

その理由の一つが「検認が不要であること」です。

自筆で書かれた遺言書については、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で遺言書の検認を行わなければなりませんでした。相続人を調査し、家庭裁判所に申立てを行って・・・という手順を踏まなければなりません。
これに対して、公正証書で作成された遺言については、検認が不要で、直ちに相続登記などを行うことができます。

ところが、今回の相続法改正により登場した遺言書保管制度では、法務局に保管してもらった遺言書については、検認が不要だということになっています。
 
今回の相続法改正により、遺言書をご自身で作成する方が増えそうですね。
 
ただし、法務局が遺言書を保管してくれるといっても、遺言書の記載内容をチェックしてくれるわけではありません。
あとで疑義が生じないよう、遺言書を作成された際には、弁護士に確認をされることをお勧めします。
遺言書、相続に関するご相談は、石川県金沢市の弁護士、棒田法律事務所にご相談下さい。