信用情報(ブラックリスト)

債務整理・破産・再生などを検討されている方で,「ブラックリストに載ってしまう…」と心配されている方がいます。

弁護士的には,そこまで恐れる必要はないのでは…と思いますが,確かに「ブラックリスト」って言葉の響きがすでに怖いですよね。
「一生消えない傷」を負ってしまうのでは…と不安に思う気持ちもよくわかります。

多くの方から質問を受けるので,ブラックリスト,つまり「信用情報」についてメモしておきます。

経済産業大臣が指定する「信用情報登録機関」には,CICとJICCと全銀協(KSCと呼ぶらしいです)があります。

3つそれぞれが別の機関ですが,実際にはこの3団体は,相互に情報を提供し合っています(CRINという制度だそうです)。

金融機関やカード会社における審査の際に,この信用情報登録機関に照会をかけて,滞納はないか?とチェックされるわけです。

まず,任意整理の場合であっても,破産や再生手続であっても,信用情報には登録されます。いわゆるブラックリストに載ってしまうということです。

ですので,債務整理手続きを開始した後は,新しいローンを組んだりすることが難しくなります。

では,登録された情報(ブラックリスト)はいつ消えるのか?

「5年」と言われたり「10年」と言われたりするようですが,各信用情報登録機関がホームページで公表しているオフィシャルな情報で確認してみました。

→ 情報の種類や契約時期によってもかなり細かく決められています。
詳細をお知りになりたい方は,各団体のホームページを直接ご確認下さい。

ざっくり言えば,多くの情報は5年で消えます。

例えば「ローンを滞納した」などの情報は5年で消えます。
ただし,返済し終わってから5年です。

破産の場合には,免責の決定が確定したことをローン会社に伝えると「完済」と登録され,完済から5年で消えるということのようです。

では,破産手続が終わってから5年経てば全ての情報が消えるのかというと,そうではないようです。

全銀協だけは「官報情報」を10年保管するとしています。
(CICは,平成21年4月1日から官報情報の収集・保有を中止しているとのことです。)

官報とは,政府が発行している新聞のようなもので,破産や再生に関する決定が掲載されています。
(ただし,日刊新聞のようにコンビニで買えたりはしません。大きな書店でなければ売っていませんし,一般の方が目にすることはほとんどないと思います。)

破産や再生の手続を行う場合,この官報に必ず載ります。

全銀協は,官報に掲載された情報を10年保管しているということは,「誰がいつ破産(再生)した」という情報を10年保管しているということになります。

結局のところ「破産や再生をした場合は10年経たないと信用情報は消えないのか…」ということでしょうかね。

 

最後に,借金問題で悩んでいるけれど,「ブラックリストに載りたくないから債務整理をしない」という選択は考えられるでしょうか。

任意整理をすれば,例えば5年で完済し,完済後5年で情報が消える(つまり消えるまで10年)。破産でも10年。

では,債務整理することなくそのまま返済する場合,直ちに全額を返済できれば,完済から5年で消えますので,これが一番早いですね。

しかし完済まで5年かかった場合は,結局は消えるまで10年かかってしまうことになります。
ただし,そのまま返済する場合は,高額のリボ払い手数料や利息も支払わなければなりません。
この状態のまま5年で返済できる方であれば,任意整理をすればもっと早く返済できるはずです。

結論としては,「ブラックリストに載りたくないから債務整理をしない」という選択は「ナシ」だと思います。

一刻も早く債務整理をして,生活を立て直し,貯金をした方がいいと私は思います。