通帳・取引履歴について

自己破産の申立ての際には、何種類もの書類を集めて裁判所に提出しなければいけません。

弁護士に破産手続を依頼するときまでに準備しておかなければいけないわけではありません。弁護士に依頼をした後に(債権者に受任通知を送付してもらった後に)、書類を集めていきます。

提出する書類の中に、「通帳」または「取引履歴」があります。

自分名義の全ての預金・貯金口座について、2年分の通帳または取引履歴を準備する必要があります。
ネットバンキングなどで取引履歴が2年分閲覧できる場合には、それでOKです。

裁判所に提出する際にはプリントアウトして(つまり紙で)提出するのですが、ネットバンキングの中には、とても印刷しづらいところがあります。
いわゆるネット銀行と呼ばれるところ、例えばPayPay銀行や楽天銀行などは、
取引履歴をPDFデータで取得できて印刷も簡単なのですが、
例えば北國銀行などは、取引履歴の印刷がメンドウです。スマホのスクショ画像をちょっとずつ印刷していかなければいけません。
北國銀行の口座で入出金が多い人は、できれば窓口で取引履歴を取得してほしいと思っちゃいます。

金融機関の窓口で取引履歴を取得する際、どこの支店でも取得できる金融機関もあれば、
口座を開設した支店に行かなければダメという金融機関もあります。
(郵送では手続できません!と言われることもあります。)

遠方だと苦労します・・・。

預金口座は、もっていてもお金はかからないし、ほとんど使わないけどそのまま放置している場合がありますよね。
私も北海道銀行の銀行の口座を開設したままになっています。

預金口座が他人に悪用されることもあるのかもしれません。
使わないことがはっきりしている口座であれば、解約しておく方がいい気がしています。

住宅資金特別条項

債務整理の手段として,破産を避け,小規模個人再生手続を選択する大きな理由として,「自宅を守れるから」ということがあります。

破産手続では自宅を手放さなければならないが,小規模個人再生では自宅を手放さずに済むというわけです。

ただし注意しなければいけないのは,破産手続でも自宅を守れる場合もあるし,逆に小規模個人再生でも自宅を手放さなければいけない場合もあるということです。

ざっくりご説明します(いろいろな例外がありますが,それは一旦おきます)。

そもそも,どうして破産手続だと「自宅を手放すことになる」と言われるのでしょうか。

破産手続では,原則として借金の返済を全て(生活費の支払いは除く)ストップすることになります。
なぜかというと,破産する人の財産を債権者に公平に分配する必要があるからです。一部の債権者にだけ返済することは認められません。

ですから,例えばローンが残っている自動車を使用している場合,ローンの支払いを停止しなければいけないので,自動車が引き揚げられてしまいます。
住宅ローンも同じです。住宅ローンの支払いも停止しなければいけないので,自宅は競売になってしまいます。だから自宅は手放さなければいけない,ということなのです。
(破産手続を選択した場合でも,自宅を守ることができる場合があります。それはまた別の機会にご説明します。)

実は,同様のことは,再生手続でも起きます。

個人再生手続では,借金の返済(生活費の支払いは除く)をストップさせたうえで,金額を減額した再生計画(つまりは返済計画)を作成し,裁判所のOKが出れば,その計画どおりに,債権者に対して公平に返済をしていくことになります。
再生計画(つまり返済計画)では,一部の借金だけは全額返済するという特別扱いはできません。

そうすると,住宅ローンの債権者(銀行など)は,「再生計画ではローンの一部しか支払ってもらえないから,自宅を競売して回収します。」ということができてしまいます。

これが原則,これが出発点です。

ところが,小規模個人再生における再生計画では,借金のうち,住宅ローンだけは特別扱いができるのです。

それが「住宅資金特別条項」です。
再生計画に,住宅ローンを特別扱いする条項を設けます。これを「住宅資金特別条項」と呼ぶのです。

「他の借金は減額して一部だけを分割して支払います。でも住宅ローンは,今までどおり支払います。ちゃんと支払っているのだから競売はされませんし,自宅を手放さなくていいよね。」ということです。

住宅ローンを特別扱いするという「住宅資金特別条項」は,どんなときでも認められるかというとそうではありません。

細かな条件があります。

例えば,自分が住んでいる住宅でないとダメだとか,住宅ローンの連帯保証人ではダメだとか,住宅ローン以外の抵当権がついている場合はダメだとか,税金の滞納処分の差押えがされている場合はどうだとか…。

状況によって,ダメだったり,ダメじゃなかったりします。

ですので,住宅ローン契約の名義,不動産の名義,抵当権の名義,抵当権の設定状況などなどの細かな事実を確認して,
住宅資金特別条項が使えるのか否かを,慎重に検討しなければいけません。

住宅資金特別条項が使えるのか否か(つまり自宅も守れるのかどうか)は,言うまでもなく,とても大事な分岐点です。
「ちょっと調べさせて下さい」と申し上げることはよくあります。

ですので,最初に書いた部分ですが「破産手続では自宅を手放さなければならないが,小規模個人再生では自宅を手放さずに済む」と簡単に考えてはダメです。

ネットで調べるのもいいですが,できるだけ早く,弁護士に相談してみることをお勧めします。

自己破産で日常生活は変わるのか

破産手続に対する不安としてよくご質問を受けるのが
「自己破産をすると仕事はクビになりますか」
「住んでいるアパートから引っ越さなければいけませんか」
というご質問です。

答えは,いずれも「そんなことありません」です。

自己破産をしても,基本的には会社にはバレません。
会社からお金を借りたりしていない限り,裁判所などから通知が行くことはありませんし,官報を毎日チェックするような特殊な職場でなければ,従業員が破産したことに気が付きません。
仮にバレたとしても,クビにはできません。

住んでいるアパートもそのままです。
家賃を多額滞納していない限り,大家さんは,入居者が破産したことに気が付きません。仮にバレたとしても,出て行かなければいけないなんてことにはなりません。

自己破産をしても,毎日の生活が大きく変わることは基本的にはありません。

それまでと大きく変わるのは,借金の返済をストップすることと(借金の督促もストップします),きちんと収支を管理する(家計簿をつける)ことぐらいでしょう。

破産手続(自己破産)のスケジュール

先日,小規模個人再生手続のスケジュールについて少し書きました。
→小規模個人再生のスケジュール

今日は破産手続(自己破産)のスケジュールについて書きたいと思います。

破産手続にはバリエーションが多く(審尋が行われるか否か,破産管財人が就くか否か,配当があるか否かなど),
それに応じてスケジュールも全然違ってきます。
下記はあくまで,とてもスムーズに終わったある破産事件(金沢地裁)のスケジュールということになります。

概ねこんな感じでした(同時廃止事件)。

[スタート]
受任通知(弁護士が各債権者に通知を発送)
↓ 2~3か月後
破産申立て(裁判所に書類提出)
↓ 2週間~1か月
裁判所が破産手続の開始を決定・手続の廃止を決定
↓ 約2か月後
免責決定(全ての手続が終了)
[ゴール]

スタートから半年ぐらいで全ての手続が終了していますね。

半年というのを早いと感じますか?それとも遅いと感じますか?

ちなみに,この半年間は常にいろいろな作業・手続を行っているというわけではなく,いわゆる「待ち」の時間が多いです。
書類の準備など,ご本人に協力を頂くのは,受任通知から破産申立てまでの約2~3か月間がほとんどです。

管財事件でスムーズに終わった事件は,こんな感じでした。

[スタート]
受任通知(弁護士が各債権者に通知を発送)
↓ 3か月後
破産申立て(裁判所に書類提出)
↓ 2週間
開始決定・同時廃止決定
↓ 約3~4か月後
免責決定(全ての手続が終了)
[ゴール]

半年よりちょっと長めですが,同時廃止の場合とあまり変わりませんね。

 

スムーズにいってもこれくらい時間がかかります。
もっと時間がかかる事件も普通にあります。

手続に時間はかかりますが,少しずつでも前には進んでいきます。そして必ず終わります。

長い人生です。何年も何年も借金返済に追われることを考えれば,この半年はわずかな時間だとは思いませんか。

債務整理(借金問題),自己破産,再生手続についてご相談をご希望の方は,ぜひ一度,棒田法律事務所にお問い合わせください(相談料は無料です。)。

小規模個人再生のスケジュール(返済時期)

小規模個人再生は,返済しなければいけない債務を少なくしたうえで3年間で分割返済するという手続です。

裁判所に小規模個人再生の申立てを行った場合,実際に分割返済を始めるのは「いつ」になるでしょうか。
「いつから返済を始めることになりますか」というご質問はよくあります。

東京地裁などでは「標準スケジュール」が定められています。
それによれば,再生計画の認可・不認可決定までが25週間だそうです。約6か月くらいですね。

金沢地裁では,東京地裁の「標準スケジュール」のようなものは公表されていないと思います。
実際には,どれくらいの期間なのでしょうか。

私が最近やった小規模個人再生事件では,申立てから認可決定まで約5か月でした。東京地裁の標準スケジュールよりも少しだけ早く進んだわけです。
ただし,これは特に補正もなく,スムーズに進行した事件です。
事案によってはもう少し時間がかかる場合もあるだろうと思います。

その後,再生計画に基づく第1回目の支払い(3か月分)が,認可決定の4か月後くらいでした。

なので,裁判所に申立てを行ってから,約9か月後に最初の返済時期が来たことになります。ご依頼を受けてから裁判所に申立てを行うまで2か月ほどかかりましたので,ご依頼を受けてから約11か月です。

つまり1年弱です。

この1年弱の間は,弁護士が介入して,それまで行ってきた借金の返済をストップしているので,その分だけお金を貯めることができます。

「貯めることができる」というより,貯めなければなりません。

返済をストップしている1年弱の間に,きちんとお金を貯められる方(安定した収入・倹約・家計簿の記録など)でなければ,個人再生による債務整理はできないだろうと思います。

借金問題で悩んでいる方の中には「破産だけは避けたいから」という理由で再生手続を希望される方もいますが,「本当に破産を避けることができるか」を慎重に検討すべきです。

再生が困難となって結局は破産せざるを得くなることがあります。

逆に「借金の返済さえストップできればきちんとお金を貯められる」という方であれば,1年弱が経った頃にはある程度のお金が溜まっており,余裕を持って返済していけます。

 

債務整理をしたいけど,どっちの手続きがいいのかな…という方は,是非お近くの弁護士にご相談されて下さい。
依頼するかどうかはともかく,方針が決まれば,いろいろな準備を進めることもできますし,少しは不安が解消されると思いますよ。